非常に厳しい状況でボウズを覚悟していたら、最後の最後にドラマがあり、超大物が夜明けとともにやって来た。

３月２２日、クラブの例会があり、会友２人と一緒に和歌山・紀ノ川へ釣行した。情報では紀ノ川大橋周辺にトロ藻が発生していて釣りにならないというので、その場所は避けて、少し上流にある、せせらぎ公園の対岸で竿を出した。

大物用の１本バリ仕掛け（ハリは、がまかつ太地丸海津１３号）にマムシをつけ、午前０時半に釣りを開始。今回、出した竿は２本。一本は全遊動仕掛けで近投～中投用、もう一本は片テン仕掛けで遠投用。

川の流れを見ると、かなり速く、ゴミも多い。上流の水門を開けて放水しているようで、道糸が流されて下流に向いている。経験的に「これはまずい、ボウズかも」の予感がする。

しかし、この日の潮は大潮後の中潮で悪くない。大物が出そうな潮だ。午前０時半ごろが干底なので、ジアイは同２時過ぎと思われる。そのジアイを逃さず、同行した大内さんが３８センチのチヌを釣った。それを聞いてがぜんやる気が出て私も集中したが、来たのは引きの変化のない、重いだけのエイだった。

その後、大内さんはウナギも釣って５時半ごろに納竿して場所を移動した。私も大内さんに続いて竿をしまっていると、上流に向いて遠投した片テン仕掛けの竿の道糸が大きくたるんでいる。

目の前にはゴミがかなり浮いているので、てっきりゴミかエイと思って巻き始めると、かなりの手ごたえ。何かは分からないが大物がついていそうだ。慎重に寄せて水面に浮かせると、５０センチは軽く超えていそうな、真っ黒なチヌだった。

この予想外の大チヌは拓寸で５５センチあり、自己記録更新の記念すべき一尾となった。チヌは乗っ込み時期だから、年なしを釣るなら今がチャンスだと思う。（報知ＡＰＧ・野村道雄）