憧れの名人位まで、あと一歩だった。後半に必死の追い上げを見せながらも３尾差で山村名人に敗れた増田選手。序盤の３投目、キャストした際に高切れでオモリをロストした。「あれが痛かった」。開口一番、悔しそうにアクシデントを振り返った。

ハリ数の多い多点仕掛けを駆使。選手権の１回戦は３０本、決勝戦は２８本でスタートした。キスの活性など状況を見ながらハリ数を徐々に落とし、快進撃を繰り広げた。「多点仕掛けを使い始めたのは去年から。餌付けとかマイナス面は多いけど、連で釣れているときは一度にたくさん釣れる」。キス釣りと並行して取り組むスポーツキャスティングの技術を生かして、仕掛けを絡ませずに投げる腕を磨き上げた。

キス釣り歴は２５年以上。地元、香川・観音寺市の有明浜がホームだ。同じ四国勢の山村名人とは旧知の仲。「夢に見た優勝杯を手に入れられたのはうれしい」。選手権を制して永久シード権を得た勢いで、これからも名人位に挑み続ける。（竜）

２位・島野忠寛選手：「優勝した増田さんとは１０尾近く差が開いたので、残念だけど仕方がない結果。後半は４０分間も魚が釣れず失速してしまった」

３位・塩崎賢選手：「１色半ぐらいでアタリがあり、いいときは７連、８連。でも、コンスタントに釣れなかった。２位と３位にはなれたので次は優勝して永久シードが欲しい」

経過【１回戦】境港市・美保湾展望駐車場付近の砂浜を約２５０メートルずつＡとＢ、２つのブロックに分けて午前６時から同８時まで行われた。天候は曇り、無風。前日（６日）の降雨やスズキなどのフィッシュイーターが回遊していた影響か、キスの活性は下降傾向。釣れたサイズは１３～１５センチが平均で２５センチ以上の大型も数尾、交じった。

Ａブロックは流れ込みの周辺に入った選手が苦戦する中、元名人の瀬尾選手が佐藤選手と並ぶ２６尾でトップ。同じく元名人の伊達選手らが２３尾で続いた。一方、Ａブロックから西側に離れたＢブロックは全体的に好釣果。島野選手が４２尾でトップに立ち、２位の鈴木選手が４１尾、３位の小林選手が４０尾。両ブロック上位８位タイまでの合計１６人が決勝戦に進出した。

【決勝戦】Ａブロックの東側を使い、午前８時４０分から同１０時４０分まで行われた。海に向かって右端に入った選手が好釣果をマークし、ハリ数の多い多点仕掛けを駆使した増田選手が４７尾で初優勝。島野選手が３８尾で２位、塩崎選手が３６尾で３位。第４２、４３回大会を連覇した田中選手や元名人の西向選手ら北陸勢の活躍も光った。